通勤路ではドクダミの花が盛りを過ぎてきました。
みなさんは、わぁきれいな花、と思ったら「これは花弁ではなく苞(or萼片)だよ」と言われたことはありませんか。花弁ではないから花ではないということではありませんが、でもそんな風に苞で花弁を思わせるくらいなら、最初から花弁に力をいれればいいじゃない。
そう思う人も思わない人もいるかと思いますが、今回は花の在り方についてざっくりと考えてみようかと思います。
花も人と同じで十人十色(十花十色?)であり、派手な人もいれば地味な人もいて、そのままで美しい人もいれば着飾ることで美しさが増す人もいます。
花は自分からは動けないため、繁殖するためには花粉をどうにかする必要があります。
●花粉を風にすべて任せる風媒花タイプ
●水に任せる水媒花タイプ
●ポリネーター(花粉媒介者)に来てもらう動物媒花(虫・鳥・コウモリ等)タイプ
●もはや自分でどうにかする自家受粉タイプ
例外もありますが、だいたいはこれらの中から都合の良いものを行います。そうです、花は人間を楽しませるためにきれいなのではありません。動物媒花タイプのものについては、いかに自分のところに来てもらえるかが重要になってくるのです。そのため、アピールとして色を変えてみたり、形を変えてみたり、香りを変えてみたりしています。これを誘因といい、来てもらうことで報酬を与えます。なかには、誘っておいて実は無報酬という騙すやつもいるそうです(送粉者側にも盗蜜者がいるのでお互い様?)。また、花弁が目立とうが苞が目立とうが、植物にとって大切なのは花粉を運ぶ虫や鳥に花を見つけてもらうことであり、機能は同じことだそうです。
ただし、園芸品種に多く見られる八重咲きの花については少し異なります。八重咲のものは、多くの場合雄しべや雌しべが花弁に姿を変えた突然変異によるものであるため、種子や果実は作られない場合(不稔)が多いようです。例外もあり、たとえばドクダミにはヤエドクダミという品種がありますが、これは苞であるため雄しべや雌しべが残っています。
下表は、代表的な風媒花と動物媒花について簡単にまとめたものです。
面倒くさがりやのわたしは楽をしたいと考えてしまうので、もし植物だとしたら間違いなく地味派の風媒花タイプです。もしくは、ネモフィラほどの派手さはないけどちょっとかわいらしいキュウリグサのような虫媒花が良いです。また、各送粉方法はその植物にとって今の環境を生きる最適な生存戦略ですので、どちらが優れているという判断はできません。それぞれにメリット・デメリットはあり、環境によっても変わります。
ここまでお読みいただきありがとうございました。